33 腸内細菌で双極性うつを診断できるか!?

今回も腸内細菌の論文です!

うつと腸内細菌の関係は様々な研究で議論されていますが、「腸内細菌が本当にうつに効くのか」「どの腸内細菌がうつに効くのか」という疑問に対する統一見解は得られていません。

今回は今年出た最新論文を読んでみます!

今回の論文

【論文タイトル】Metagenomic analysis reveals gut bacterial signatures for diagnosis and treatment outcome prediction in bipolar depression

【著者】Lai et al.

【年】2022

【ジャーナル】Psychiatry Research

【リンク】Metagenomic analysis reveals gut bacterial signatures for diagnosis and treatment outcome prediction in bipolar depression – ScienceDirect

クエチアピン単剤療法による腸内細菌叢の変化

こちらの研究では双極性うつと診断された62人の患者さんにおける、クエチアピン投与治療前後の腸内細菌層を解析しました。

DSM-IV-TRクライテリアによって患者さんのうつタイプを分類すると、タイプI(n=12)、タイプII(n=45)、NOS(n=5)に分類されました。4週間のケチアピン投与後、うつの指標であるHDRS-24およびMADRSのスコアは有意に減少し(P < 0.05)全体的にうつ状態が改善されました。また、健康なヒトの腸内細菌叢をコントロールとして、双極性うつ患者のクエチアピン投与前後の腸内細菌叢のアルファ多様性を比較した結果、治療後の患者さんのアルファ多様性が有意に高かったです。これはクエチアピン治療によってうつが改善するとともに、腸内細菌叢の多様性が増加していることが示唆しています。

健常者の腸内細菌叢と比較して未治療の双極性うつ患者では、Streptococcus cristatusやClostridium perfringensなど15種の細菌が増加し、10種の細菌が減少していました。そして、4週間のクエチアピン投与後、BD患者においてStreptococcus cristatus、Clostridium perfringens、Clostridium bartlettiiなど13種の細菌が増加し、3種(Bilophilaunclassified、Enterococcus hirae、Bifidobacterium dentium)の存在量が減少しました。(どれくらい健常者の腸内細菌叢に近づいたのかが気になりますね)

Clostridium bartlettiiと脳・海馬に関係がある、かも?

次に本論文の著者らは、臨床パラメータと細菌種の存在比の関連性を調べました。その結果、年齢、発症年齢、罹病期間、BMI、うつ病の重症度、不安感などのパラメータが、特定の細菌種の存在量と密接に関連していることがわかりました。興味深いことに、Clostridium bartlettiiの存在量は年齢(ρ = -0.319, P = 0.002)、ベースラインのHDRSスコア(ρ = -0.367, P = 0.009)およびMADRSスコア(ρ = -0.322, P = 0.024)と負の相関がありました。

そこで、ALFFおよびfALFF(z-transfer)指数を用いて自発的神経活動をとの関連を調べました。未治療のBD患者において、Clostridium bartlettiiの存在量と海馬のALFF(r = 0.651, P < 0.01) またはfALFF(r = 0.524, P < 0.05) に正の相関が認められました。

(と著者らは言っていますが、R2=0.651, 0.524: n= 15ですし、実際のグラフを見ると2, 3人の患者のデータが相関曲線の値に大きく影響している感じだったので、臨床で再現とれるデータなのかちょっと怪しいと思いました)

診断や治療への応用が期待できる?

腸内細菌種によってうつ病かどうか診断できるか調べるために、患者62人、HC60人の22種を用いてLeave-one-out(LOO)交差検証でランダムフォレスト分類モデルを構築しました。その結果、健常者のサンプルと比較して双極性うつ患者のサンプルでは「双極性うつである」とされる確率が有意に増加しました。

(もしかすると、腸内細菌で客観的なうつ病診断ができるようになるかもしれませんね。ただ、ここでもモデルの正当性を評価するためのinputサンプルとモデルを作るためのサンプルが同じだったのが気になる。公共データなど活用できなかったのかな?)

感想

Resultを読んでいる途中でなぜかOpen Accessでなくなり?Discussionが読めなかったです・・・なんでだろう。残念。

解析手法がこれでよいのか?と若干疑問に思うところがありましたが、詳しくないのであまりツッコまないようにします。詳しい人がいたらぜひ教えてください。。

いずれにせよ、腸内細菌とうつ病も何かしら相互作用してそうだなと思いました。

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