4 細菌のコンピテンシーを喪失させる意外な仕組みとその化合物!

【論文タイトル】Proton Motive Force Disruptors Block Bacterial Competence and Horizontal Gene Transfer

【著者】Domenech et. al.

【年】March 2020

【ジャーナル】Cell Host & Microbe

今回は細菌の「コンピテンシー」に関する論文です。

細胞外からDNAを能動的に取り込んで形質転換する細菌は「natural competence」あると言います。

細菌がそのようなことを行う理由としては、前回の論文紹介記事をぜひご一読ください。

Natural competenceのある細菌は、自然形質転換などによって薬剤耐性を得ます。

肺炎球菌 (Streptococcus pneumoniae) も同様で、薬に対する耐性遺伝子を細胞外から取り込んで、薬剤耐性菌へと進化してしまう場合があります。

本論文では、プロトン勾配形成を阻害する化合物は、細菌のコンピテンシーを喪失させることを証明しました。

プロトン勾配と natural competence が一体どう関わっているんでしょうね。

実験量が多く、読み応え抜群でした。

まず、著者らはnatural competenceを阻害する化合物 (COM-blockers) を同定するために1380もの化合物をスクリーニングします。

Natural competence を測るレポーターとしては、ssbB プロモーターを利用しています。

細胞内にssbB付き外来DNA が取り込まれたら、ルシフェラーゼ活性によって発光します。

細胞の増殖に影響を与えず、細菌が光を発さなくした化合物は細菌のnatural competence を喪失させたCOM-blockersということです。

こうして、1380のうち46の化合物がCOM-blockersであることを明らかにします。

これらのCOM-blockersがnatural competenceを行う機構のうちどこを阻害するのかを明らかにするために、 

今度はCOM-blockersの存在下で、カスケード中の物質を加えnatural competenceが回復するかを調査しました。

その結果、CSPを細胞外に輸送する段階で阻害が起こっていることが分かりました。

これらの物質はプロトン勾配の形成を阻害する物質でした。

これより、細菌におけるプロトン勾配形成阻害がnatural competence をも阻害することが明らかとなりました。

(プロトン勾配の阻害や、CSP輸送の阻害を実証する実験は他にも行っています)

実際に、マウスに細菌を接種したところ、COM-blockerがある場合は遺伝子の水平伝播数が半減したようです。

Natural competenceがpHの変化に大きく影響をうけるのもこれが理由なんでしょうか。

2回連続で形質転換関連の論文でした。

 【引用】

https://www.cell.com/cell-host-microbe/fulltext/S1931-3128(20)30073-1

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