13 腸内細菌と慢性疾患

今回の論文はこちら↓


Vijay, A., & Valdes, A. M. (2021). Role of the gut microbiome in chronic diseases: a narrative review. European journal of clinical nutrition, 1–13. Advance online publication. https://doi.org/10.1038/s41430-021-00991-6

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8477631/

最近ますます注目が高まりつつある腸内細菌についてです

European journal of clinical nutritionというあまり知らないジャーナルですが、レビューの中では比較的新しくわかりやすくまとまっていたのでこちらの論文読んでいきたいと思います🎶

さて、近年腸内細菌は、腸だけでなく脳や免疫など、腸内細菌との関連が想像しにくいような疾患に影響を及ぼしていると言われています。

では実際に疾患とのどのような関わりが報告されているのでしょうか

まず、著者らが挙げている腸内細菌と病気の関係をざっと上げていきます。


  • 健康な人と慢性疾患を有する人とでは腸内細菌叢が大きく異なる。これはほとんどの慢性疾患で見られている現象で、基本的には慢性疾患にかかっている患者さんは腸内細菌叢の多様性が低い
  • 心臓の代謝疾患や過敏性腸症候群といった自己免疫疾患の患者さんには短鎖脂肪酸を生産するバクテリア(例えばBifidobacterium sp, Faecalibacterium sp, Roseburia sp, or Coprococcus eutactus)が少ない
  • 短鎖脂肪酸以外にも腸内細菌が生産する多くの化学物質が人の健康において重要な役割を果たしていると
  • 病気の患者さんの腸内には病原性のバクテリアが多く存在していたようです

まだなんとなくふわっとしているのでもう少し読み解いていきたいと思います

本論文では腸内細菌がヒトに影響を及ぼす要素を3つに分解しています

  1. 腸内細菌そのもの
  2. 腸内細菌の多様性
  3. 腸内細菌が生産する物質

そして腸内細菌と関連性が報告されている疾患として

関節リウマチ、I型・II型糖尿病、アトピー性皮膚炎、アトピー性喘息、‎過敏性腸症候群‎、‎炎症性腸疾患‎、‎心血管疾患‎、非アルコール性脂肪性肝疾患、慢性腎臓病、精神疾患

などを挙げています。

筆者が想像してたよりもかなりたくさんの疾患と関わっているようです・・!

しかしながら、うえに挙げた要素と疾患がどのように関わっているのかのメカニズムについてはあまりわかっていない模様です。

一つ一つの疾患で、メタゲノムデータなどに基づいて関連がありそうなバクテリアが挙げられているのですが、その信憑性については何とも言えないところ。

(増減の関係が入れ替わっていたり、再現性がなかったりする)

まだ腸内細菌の研究については発展途上という印象が否めないですね。

それでも、これだけの報告があるので、やはり腸内細菌が人の健康や疾患と大きく結びついていることは間違いなさそうな気がします

腸内細菌研究のこれからに期待ですね・・・!

各疾患での報告内容については細かい話になるので原文を確認していただけたらと思います😅

今回はやや駄文になってしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。

以前腸内細菌が子供の精神状態と関係しているという論文も紹介したので、こちらもぜひご覧ください

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