24 腸内細菌がヒトを健康にする仕組みレビュー 【その3:ポリ多糖】(GUT, 2022年2月publish)

その2では短鎖脂肪酸がヒト腸内の健康維持に寄与するメカニズムをご紹介しました。その3ではポリ多糖がどのようにヒトに影響を与えるか見ていきます。その2の短脂肪酸と異なり、ヒトにとって悪い菌にどのように対応しているかという話です!

今回の論文

【論文タイトル】Gut microbiome and health: mechanistic insights

【著者】Willem M de Vos et al.

【年】2022

【ジャーナル】GUT

【リンク】Gut microbiome and health: mechanistic insights | Gut (bmj.com)

ポリ多糖は病原菌の目印

腸管バリアは、微生物の侵入や有害な刺激から宿主を守る、複雑で動的な物理的・化学的構造の集合体です。環境からやってくる有害な成分の中には、いわゆる病原体関連分子パターン(PAMPs:pathogen-associated molecular patterns)があり、その中でも細菌のポリ多糖 (LPS: Lipopolyscaccharides) は典型的な例です。

LPSはグラム陰性菌の細胞膜に存在する成分で炎症反応の要因で、少量のLPSが循環器内に放出されるだけでも炎症反応を引き起こします。

LPSはパターン認識受容体を活性化する

LPSをはじめとするPAMPsは、微生物や感染因子を感知し防御反応のシグナルを発するパターン認識受容体(PRR)を活性化します。PRRには以下の4つの主要なサブファミリーがあります

  • Toll-like receptor (TLR)
  • ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメインロイシンリッチリピート (LRR) を含む受容体
  • レチノイン酸誘導性遺伝子1 (RIG-1) 様受容体(別名 RIG-1 様ヘリカー)
  • C型レクチン受容体

TLRは、病原体に由来する微生物成分に対する反応を媒介します。TLR は、外部刺激(PAMPs)と組織損傷に由来する内部シグナル(損傷関連分子パターン (DAMPs))の両方を幅広くカバーします。これらのリガンドは、核酸から脂質、低分子化合物から高分子まで、様々な形や大きさで存在しています。そして、TLRは、マクロファージ、好中球、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球などの免疫細胞や、腸管上皮細胞など他の体細胞にも広く分布しているそうです。PRRの活性化は抗原提示細胞の活性化を誘導し、それによって自然免疫反応と適応免疫反応の橋渡しをしシグナル伝達カスケードを活性化させることで、微生物の侵入を防いだり損傷した組織を修復したりします。

(まじめちゃんの余談を挟みますが、TLRは植物においても病原性細菌/ウイルスの認識の際に使われていたと思います。ヒトでもこれだけ使われているということは、真核生物に一般的な機構かもしれませんね。ホストvs外敵の機構はけっこう保存性が高くて面白いので、いつかまとめて調べてみたいです😙)

炎症性疾患との関わり

この炎症反応は感染を排除するために必要ですが、TLRの過剰な活性化は免疫恒常性の崩壊を招きます。例えば、炎症性サイトカインやケモカインの持続的な産生は、炎症性疾患や自己免疫疾患のリスクを増大させる可能性があります。また興味深いことに、異なる種類の細菌からの LPS は、腸管バリア機能、脂肪の炎症、腸のグルコース吸収、血糖値、インスリンおよびインクレチンに異なる影響を与えると言われています。

PAMS/DAMPS、PRR、マイクロバイオーム、病態がどのように相互作用しているかを完全に理解するにはまだ多くの疑問が残っていますが、この複雑な相互作用を理解することで炎症性疾患に対する新しい治療法を提供できる可能性が見えてきました。

その4はBioactive lipidsです・・・

【腸内細菌がヒトを健康にする仕組みレビュー その1~7】はこちらからどうぞ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA